人って、自分に自信がある時より、
自信がなくなってきた時の方が、
「俺は間違っていない」
って言いたくなるんだよな、きっと。
たぶん、本当に何も揺らいでいない時って、
そんなに自分の正しさを確認しなくていい。
「あいつは間違ってる」
「それはくだらない」
「そんなの必要ない」
「俺ならやらない」
みたいに、
いちいち世の中を切って回らなくても平気だから。
でも、自分の足元がちょっと怪しくなってくると、
人は急に、別の場所で正解を出したくなる。
仕事がうまくいっていない。
夫婦関係が揺れている。
自分の選択が正しかったのか分からない。
このままでいいのかも分からない。
そんな時に、
「もしかして、自分も間違っていたかもしれない」
なんて考えるのは、かなり怖い。
だから代わりに、
他人の生き方を見て批評する。
誰かの失敗を見て安心する。
「俺の方が分かっている」
「やっぱり俺は間違ってない」
そうやって、
崩れそうな自分を、別の正しさで支える。
でも、本当に自分と向き合うって、
「俺は間違っていない」
を守ることじゃなくて、
「ひょっとしたら、間違っていた部分もあるかもしれない」
って一度だけでも考えてみることなんだと思う。
それは負けじゃない。
むしろ、
そこまで考えられるようになって初めて、
自分の人生を自分で見始めるんじゃないだろうか。
とはいえ、
人はそんなに簡単にはいかない。
窓の外を眺めながら、
まだ今日も、
「俺は間違っていない」
と呟いている。
少し痛々しい。
でも、
たぶんそれも含めて人間なんだよな。




